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【  2018年09月  】 

復讐するは我にあり 3

その他

2018.09.24 (Mon)

  困った信が結局頼ったのは廓の遣り手、小竹だった。章介に絶対に口を滑らせないであろう人物、そして最も合理的かつ効率的に問題を解決へと導いてくれそうなのが彼だったのだ。ただ〝精神的に辛い″と訴えるだけでは動いてくれなさそうな冷酷非情な君主を動かす切り札を信は持っていた。だからこそ、相談に行けたのだった。「失礼します」 入室を許可された信が小竹のオフィスに入ると、銀縁メガネをかけた、いかにも酷薄そうな...全文を読む

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復讐するは我にあり 2

その他

2018.09.24 (Mon)

   ※R18 暴力表現、無理やり表現、複数、モブ要素あり 翌朝、早起きをして食堂に向かった信を出迎えたのは好奇の視線だった。雰囲気からして、どうやら鷹谷たちが余計なことを喋ってくれたくさかった――しかも彼らに都合よく。 朝食を手に席に行く途中、通りがかったテーブルについていたほぼ同年代の男子たちが――本来は学生か社会人になりたてのはずの子たちが――、紅妃さんがいるのによく、とか囁きかわしているところを見...全文を読む

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復讐するは我にあり 1

その他

2018.09.24 (Mon)

   ※R18 暴力描写、無理やり表現あり モブ、複数要素あり  その日の夜、珍しく早く上がれた信は鼻歌まじりに大浴場に向かっていた。五階の自室を出てひと気のない階段を二階分降り、食堂を過ぎた先にある風呂に着くと、引き戸を開け、脱衣所に入った。広々した室内には誰もいなかった。まだ早い時間だからだろう。 九時台に上がれるなんて奇跡だな、と思いながら部屋着と下着を脱いで浴場への扉を開けると、浴槽の中で数...全文を読む

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色と光をもたらす者 色と光をもたらす者

その他

2018.09.16 (Sun)

 「よおっ、菊野。調子どうだー?」 珠生はそう言って部屋に入りかけ、動きを止めた。後輩の居室に先客がいたからだ。 彼は鼻先がくっつくほど近くで見ていた将棋盤から目を上げて闖入者を見た。「環さん?」 西洋人形じみたクッキリハッキリした目を更に見開いてそう言ったのは、最近入ってきたばかりの菊野の部屋付きの問題児、立花だった。その向かい側に正座していた部屋の主が、今回珠生がここを訪れた目的――菊野だった。 ...全文を読む

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色と光をもたらす者 露見

その他

2018.09.16 (Sun)

  女は大きな赤い傘を開いて、ドアをばたんと閉めた。明かりが消えた。手伝いましょうか? と女は言った。私はあたふたと立ち上がり、その瞬間、別の明かりが点いた。女が私の顔に懐中電灯を向けていた――                                   ポール・オースター 『幻影の書』より  珠生は横に並び立った男をまじまじと見た。切れ長の涼しげな目元にすっきり通った鼻梁、控えめな薄めの唇に...全文を読む

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偽悪のススメ 後編

その他

2018.09.09 (Sun)

   信への風当たりが明らかに強くなったのをいい気味だと思いながら、秋二はいかにして担当傾城を代えてもらうかを日々考えていた。信のそばにいると虫唾が走り、どうにも耐えられなくなるのだ。出会ってちょうど五日――好意を抱き始めていただけに、落胆もまた大きかった。それで信の支度の手伝いをサボッたり、言いつけを守らなかったり、色々と手を焼かせるようなことをしたが、予想に反し、相手は怒らなかった。どころか注意す...全文を読む

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偽悪のススメ 前編

その他

2018.09.09 (Sun)

  秋二が、新しく彼の世話係となった傾城――天野信――と、彼と犬猿の仲と言われる、お職争いの相手、一樹とが写った写真を発見したのは、部屋を変わって間もない頃だった。信の居室の奥のタンスの上に飾られた写真立ての額の中で、まだ少年期の尾を引きずっている面立ちの彼らは、もうひとりの若者――紅妃という、色子の中でも最も体格の良い部類に入る、男娼というよりは〝武士″といった風情の人物――と共に、山道を背に幸せそうに笑...全文を読む

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西の風 後編

その他

2018.09.05 (Wed)

   ※R18、残酷な表現、道具使用、拘束、モブとの絡みあり  一通り〝作業″を終えた頃には、信は疲弊しきってクタクタになっていた。そのままシャワーを浴びる気力もなく突っ伏して寝ようとしていると、森が動く気配がしてベッドのスプリングが心持ち戻った。薄く目を開けて見ると、森が寝入った隣の女性たちを抱え上げ、部屋の反対側のソファまで運んでいるところだった。嫌な予感に思わず呻きだしたくなるのをこらえ、相手の...全文を読む

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西の風 前編

その他

2018.09.05 (Wed)

      ※女性との絡みあり、 R15 シンプルだが恐らくは最高級の布地が使われた衣装と貴石をふんだんに使ったアクセサリーで着飾った女性たちにぐるっと囲まれている状況に内心ため息を吐きつつ、信は男に命じられるまま、彼女たちの相手をしていた。商売用の笑顔を張り付けて同じように表情を偽った人々と表面上だけの会話をするのはとてつもなくムダに思えた。「どういった作曲家がお好きなんですか? 私もピアノを少し習っ...全文を読む

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寄席に行こう!

その他

2018.09.01 (Sat)

  一樹はとなりでリラックスした表情で開演を待っている同胞に耳打ちした。「なあ、おれら超見られてねえ?」 すると相手はたいして関心のなさそうな声音で答えた。「なんせ白銀に咲いた〝二輪の薔薇″らしいからな」このあだ名は、信と一樹がここのところ毎月のようにお職争いをしていることからついた名だった。おかげで玉東区内ではまあまあ有名人になってしまったので出かけるときは極力目立たない格好をして群衆に埋没しよう...全文を読む

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