更新履歴

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので、久しぶりのご訪問の方はこちらで未読・既読のご確認ができます

日付別の更新チェックはカレンダーの日付をクリック ▼

2017 01123456789101112131415161718192021222324252627282017 03

【  2017年02月  】 

終章 解放

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.12 (Sun)

  歓声が聞こえる――愛しい相手、和海への歓声と、同じように大事なひと、玲からの歓声が――。 澤は目を細めて、マウンドに立った和海の美しい立ち姿を見、笑顔で頷いたあと、後ろを振り返った。ホームベースの真後ろの席、前から二番目でメガホン片手に声援を送っていた親友と目が合った。澤は思わず手を振った。「玲!」 すると相手は苦笑して片手をあげて合図を返した。後で何か言われそうだが、今はそんなことはどうでもよかっ...全文を読む

PageTop▲

第25章 進路2

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.12 (Sun)

  澤一樹は、寮の三階にあるレクリエーションルームでぼんやりテレビを見ていた。大きな液晶テレビからは女子プロ野球のドラフト会議の様子が中継されていた。 十月、急に朝晩冷え込むようになっていた。いつもの習慣で隣に座る榛名玲に肩を冷やさないように、と言いかけて口をつぐむ。もう自分はバッテリーではないのだから、その権利はない、と気付いたからだ。それどころか、この先一生、榛名と組むことはもうないであろう、と...全文を読む

PageTop▲

第24章 進路1

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.12 (Sun)

  最後の夏の大会はあっけなく終わって、榛名玲は引退の日を迎えた。 彼女は、部員全員が集まった会議室で後輩へ別れの言葉を言いながら、体全体がふわふわとして地に足がつかないような浮遊感を感じていた。夏が終わったということに、まだ実感がわかなかった。今自分は、夢を見ているのではないか、目が覚めたらまだ大会が始まる前なのではないか、と半ば本気で疑うこともしばしばだった。 しかし、残念なことに榛名が今いるの...全文を読む

PageTop▲

第23章 三回戦

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.12 (Sun)

  夏は、あっという間にやってきた。丹波にとって今の三年生と戦える最後の試合が刻々と近づいていた。和解じみたことをしたあの春の日以来、驚くほど優しくなった憧れの選手に若干戸惑いつつも、生来的にポジティブで細かいことを気にしない丹波はそれを歓迎した。意思の疎通が格段に容易になった相手と仲間として、先輩後輩として、そしてバッテリーとして良好な関係を築くことに尽力し、成功していた。 だから澤にとっての最後...全文を読む

PageTop▲

第22章 封印2

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  榛名玲は、目の前の人物――目をキラキラさせて本を差し出してくる幼なじみ――に危うく舌打ちをしそうになった。前にも一度貸したことのある本を受け取り、くどくどと礼を言ってくる相手に適当に相槌を打ちつつ、彼女は、別のことを考えていた。それは、なぜよりによって今年も、この幼馴染と同じクラスになってしまったのだろう、ということだった。 高校は澤一樹フリーでのびのび過ごす、というのが、ここ、栄徳高校に進むことを...全文を読む

PageTop▲

第21章 変化

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  翌日はうす曇りだった。その日は朝から、栄徳高校と広瀬高校の練習試合が執り行われていた。予想したよりもギャラリーが多く、スタンドや、フェンスの向こう側には、他校生やその指導者とおぼしき人たちが並んでいた。この分ではフォークを放らせてもらえないかもしれない、と思ったが、三年生投手の飯田夏と交代する直前にそのサインが出る。フォークはそこそこうまく決まり、その後の打者の驚いたような表情も十分満足できるも...全文を読む

PageTop▲

第20章 告白

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  丹波ミサキは、にこりともせずに明日の練習試合での戦略について説明する澤一樹の前で身をちぢめていた。日は既にとっぷり暮れ、机を挟んで向かい合う二人の姿が教室の窓に映っている。澤の凍てついた視線をできるだけ避けながら、丹波は、机に載せられたデータ表を穴があくほど見つめていた。 丹波は、去年の秋大以降の猛特訓により、最近、フォークの習得に成功していた。これまで球種が少なく、ほぼ力押し一辺倒だった彼女に...全文を読む

PageTop▲

第19章 春

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  肌寒い門出の日だった。卒業式を終え、後輩に取り囲まれて苦笑を浮かべ、何事かを返答する先輩――栄口笑子――を少し離れた所から眺めながら、澤一樹は冷たい風にぶるりと体を震わせた。かつてクリーンナップとしてチームを支えた栄口は、去年のドラフト会議で東京の球団の指名を受け、入団することが決まっていた。彼女はすでに球団主催の春季キャンプを終え、向こうで活動をし始めていた。今回は卒業式に出席するためだけに帰省し...全文を読む

PageTop▲

第18章 冬

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  秋季宮城大会を準優勝した栄徳高校は、十月十日から始まる東北大会にコマを進めた。東北六県の各県上位三校、計十八校のトーナメント戦である。 しかし、不運にも、対戦回数が一回多い山に入り、初戦には勝ったものの、続く棚田高校との対戦で敗れてしまった。 初戦は夏大会でも活躍著しかった丹波ミサキが完投、完封勝利した。続く二回戦はエースの榛名玲が投げたが、失点七で敗れた。全体的に、丹波の成績が良好な大会だった...全文を読む

PageTop▲

第17章 秋

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  今日の試合は散々だった。 澤一樹は珍しくイライラしながら、球場を出たところで榛名玲を待っていた。彼女は監督と話すことがあるとかで、球場内に一度戻っていった。 荷物番をしながら、試合直後に謝ってきた丹波ミサキの顔を思い出す。サヨナラホームランを食らった最後の一球は、ちゃんと内角に入り切っていなかった。だから大きく持って行かれたのだ。 まだなかなかコントロールが定まらない丹波にとって、桜木の器用な強...全文を読む

PageTop▲

第16章 秋季大会2

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  荒川遊衣は大学の食堂で友人と共に、女子高校野球秋季宮城県大会の決勝戦を、箸片手に見ていた。まだ昼休みに入っていなかったので学食内は閑散としている。 後輩達が守備につく様子を眺めてから、ホームベースの前にしゃがみこんで球を受ける後輩キャッチャーに目をやった。彼女は今年の三月、卒業前に見たときよりもさらに背が伸びたようだった。彼女がサインを出すのを見ながら、荒川は彼女が入ってきた頃のことを思い出した...全文を読む

PageTop▲

第15章 秋季大会1

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  結局、栄徳高校は正捕手、澤一樹の状態に不安が残るまま秋季大会を迎えた。三年生が抜けた後のスターティングメンバーは、1番ファーストが、この夏まで将元大付属高校のエースだった藤巻風雅の妹の藤巻涼、2番セカンドが黒田直、3番ショートが副主将の月島絵梨奈、4番サードが今秋主将となった羽生葵、5番キャッチャーが澤一樹、6番センター築地真琴、7番ライト内村亮子、8番レフトが一年生の相川沙羅、9番ピッチャーが...全文を読む

PageTop▲

第14章 寂しい子供

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  澤六佳(さわ・ろっか)は、喉奥に錠剤を水で流しこんで、息をついた。前腕と手が焼けつくように痛んだ。やらなければならないことは山ほどあるのに、手は動いてくれなかった。 痛み止めが効くまでの間テレビでも見ようと居間に行くと、妹の幼馴染がソファから立ち上がった。「お、玲じゃん」「久しぶり。お邪魔してます」「座って座って」 六佳は榛名が再びソファに座るのを確認すると、自分も近くにあった食卓の椅子に腰かけ...全文を読む

PageTop▲

第13章 訣別

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  澤一樹の予想に反し、甲子園で敗北を喫した試合――準々決勝の日――から二週間たっても榛名玲の態度は軟化しなかった。スタメンを外れた澤は練習で榛名の球を受けることもできず、寂しさが募っていった。 榛名の態度は、時間がたつにつれてより一層硬化し、話しかけても反応してもらえなくなったので、澤はいよいよ焦り始めていた。 もしかして自分は榛名に絶交されたのではないか? 完全に見放されてしまったのではないか?――そ...全文を読む

PageTop▲

第12章 新しい主将

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.09 (Thu)

  教室の窓辺の席で秋の空を眺めながら、金沢悠木は〝あの日〟の事を思い出していた。全く打てずに敗北を喫した日。その日のために、その一試合を勝つために高校生活のすべてを捧げてきたのに、報われなかった日。どんなに祈っても目が覚めることのなかった、悪夢のような日。 金沢は、〝あの日〟以来一カ月、何事にも興味が沸かなくなっていた。無気力で何にも集中できず、時折襲ってくるフラッシュバックに苦しんだ。 最後の試...全文を読む

PageTop▲

第11章 甲子園2

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

  榛名玲は、自分の前方十八メートルでミットを構える澤一樹を睨みつけた。一体全体何を考えているのか、彼女は先ほどから相手が喜びそうなコースばかりを指示してくる。 打ち合わせとは違う配球に戸惑い、動揺が生まれてコースは甘くなるわ、何か考えがあるのかと思って素直に投げてみれば打たれるわ、今日は散々だった。もう首を振るのもつかれたからサインとは違う球を投げてやる。榛名の読み通り、前の見せ球の球筋が頭に残っ...全文を読む

PageTop▲

第10章 甲子園1

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

  照りつける太陽にじりじりとうなじを焼かれるのを感じながら、二本柳沙羅(にほんやなぎ・さら)は客席の埋まった甲子園球場を見渡した。スコアボードの下段には〝栄徳〟と表示され、その横には選手の名前が並んでいた。その中の左から四番目、4という数字の下に〝金沢悠木〟の名前を見つけて、二本柳は感嘆のため息をついた。 二本柳は、金沢と中学時代、三年間通して同じクラスだった。彼女は昔からスポーツとは縁がなく、合...全文を読む

PageTop▲

第9章 四回戦

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

  あれ、自分、意外に焦ってないな――次々打者を討ち取る後輩の豪腕投手、丹波ミサキを見ながら、香坂優は自嘲気味に思った。 今日は午後から、第二十四回全国女子高校野球選手権大会・宮城大会の準々決勝が、コボスタ宮城で執り行われていた。一昔前とは違い、高校球児たちの体に配慮して、ゲームは夕方から始められる。時計に目をやると六時だった。 スコアボードの栄徳高校の一回裏の欄は、すでに1と表示されている。初回、一...全文を読む

PageTop▲

第8章 三回戦2

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

 金沢悠木は、澤一樹をなるべく隠すように体で庇って試合会場の廊下を歩きながら、内心ため息をついた。 正直、澤がここまでもろいとは思っていなかった。金沢は基本的に、澤をダメ捕手でかわいげのない後輩だと思っていたが、賞賛にも批判にも揺れない芯の強さには以前から一目置いていたからだ。 試合でランナーが三塁にいようと、予想外のスクイズでホームに突っ込んでこられようと、彼女が顔色を変えたのを見たことがなかった...全文を読む

PageTop▲

第7章 三回戦1

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

  試合開始のコールが叫ばれる。風の強い日だった。主将の菊池東亜はいつも通り先攻・後攻を決めるじゃんけんに負けたが、相手が先攻を選んだので後攻をゲットしてきた。 向こうが先攻をとるということは、最初に一発かましてこちらの勢いをそぐつもりだろう、と香坂優は思案を巡らせた。 実際に、将元大付属の3、4、5番のクリーンナップはもちろんのこと、それ以外の打者も県内トップレベルの打率を誇るものばかり。投手の出...全文を読む

PageTop▲

第6章 主将の器

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

  金沢悠木はその日の朝、何となく嫌な予感がして目覚めた。夢の内容は忘れたが、寝覚め爽やかとは言い難く、口内に苦みを感じた。 将元大付属を打ち崩す戦略は十分に練ってあったが、それは守備が固い、という前提での話だ。抜群のコントロールと多彩な変化球を持つ二年生のエース、榛名玲と、やはり二年生で、強肩と緻密なリードが持ち味の正捕手、澤一樹がうまく機能してくれてこその打線だった。打線より守備に優れる栄徳にと...全文を読む

PageTop▲

第5章 越えられないもの 

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

 三回戦を四日後に控えた週末、栄徳高校女子野球部の二年生、羽生葵は、同じくチームメイトの榛名玲と澤一樹への疑惑が部内で再燃したのをいいことに、同室者をおちょくって楽しんでいた。羽生は二人が付き合っていないのを百も承知だったが、普段二人の対立に散々手を焼かせられている意趣返しとして榛名をからかっていた。何度も繰り返されたその問い――榛名と澤は付き合っているのではないか、という問い――に、いい加減ウンザリし...全文を読む

PageTop▲

第4章 初戦

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

 「あー………暇。……暇すぎて脳が溶けそうだ」栄徳高校は、第二十四回全国女子高校野球選手権宮城大会の初戦を迎えていた。昨年、甲子園出場を果たし、ベスト8という成績を残した栄徳は、シードで一回戦を免除されていたために、二回戦からの戦いだった。 榛名玲はこの日、登板がなかったために、ベンチの奥でダラリと手足を伸ばしていた。 相手が遥かに格下のチームだったため、他のレギュラー陣もほとんど出されていなかった。レ...全文を読む

PageTop▲

第3章 エースになりたい!

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

 それから一週間後の放課後のことだった。栄徳高校女子野球部の一年生、丹波ミサキは、閑散とした学校の廊下を、一年先輩の澤一樹と歩いていた。練習終わりで、まだ白地に青の縫い取りのあるユニフォーム姿の澤は、空き教室につくと、電気をつけて廊下側の席に着いた。机上に出された相手校の打者のデータがびっしり書き込まれた紙を、丹波はしばしの間黙って見つめた。「直前になっちゃって悪いんだけど、これ、頭に入れてきてくれ...全文を読む

PageTop▲

第2章 夏大、はじまる

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

 千瀬高校との練習試合から約二週間後に、第二十四回全国女子高校野球選手権大会・宮城大会の組み合わせ抽選会が、栄徳高校の近所のスポーツ研修センターで執り行われた。校欠で会場に赴いたのは、三年生の主将、菊池東亜(きくち・とうあ)、同じく三年生で副主将の金沢悠木、そして二年生の正捕手、澤一樹の三人だった。本来は榛名玲が来るはずだったのだが、彼女は成績低迷のため授業を休めず、代わって澤が来ていた。金沢悠木は...全文を読む

PageTop▲

第1章 問題児

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

  二十一世紀を半分ほど過ぎた頃、日本は女子プロ野球の時代に突入した。野球愛好家で、自身も選手としてプレイしていた経験のある実業家、西条直実らが二〇二〇年以降、女子のプロ球団を全国各地に次々と立ち上げ選手を募るようになって以来、中学・高校にそれまでは無きに等しかった女子野球部が軟式・硬式共に爆発的に増えたからである。それに伴って高野連の大会規定が改正され、甲子園は女子をも受け入れる場所となった。 事...全文を読む

PageTop▲

栄徳高校女子野球部! 本編もくじ

栄徳高校女子野球部! 本編 (完結)

2017.02.08 (Wed)

 【あらすじ】 時は2059年。日本では女子プロ野球が全盛期を迎えていた。宮城の強豪、栄徳高校で日々練習を重ねる野球少女の榛名玲(はるな・れい)は、幼馴染の天才捕手、澤一樹(さわ・いつき)と共に甲子園を目指している。ある〝事故″により、澤とただならぬ関係になってしまった榛名は相手との関係を修復しようと努力しているものの、なかなか突き放すことができず…… 幼馴染みバッテリーの友情以上、恋愛未満の共依存ドロド...全文を読む

PageTop▲

お知らせ:ひさしぶりの更新!

お知らせ

2017.02.08 (Wed)

 久しぶりの更新です。ジェンダーに関する記事、一旦下げました。地雷多数の記事だったので・・・・・・もう少し洗練された文章にして再upするかもです。いずれにせよ、若い時分に書いたものなので、いろいろと裏付けがとれてなかったり未熟な文章でした。ジェンダー/性差別/LGBTQ+ についてはずっと関心を持ち続けていて別のブログはそちらを主に運営しているので、こちらに引っ越しさせるかもしれません・・・・・・それから、新...全文を読む

PageTop▲

前月     2017年02月       翌月