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【  2012年12月  】 

終章

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2012.12.18 (Tue)

 終章 まりあの日記より201×年 4月8日(水)君への思いを伝えられなくて苦しい。面と向かっていないから簡単なはずなのに、拒絶がこわくてキーボードを打つ手が止まるんだ。家族なのにおかしいよね。でも好きになったことは後悔していない。いつか絶対言うよ。成長したらきっともっと勇気が持てるようになる。私たちしかいない世界で、永遠に眠らずに、君の懐でうずくまりたい。高校に上がって、私たちはますます離れてしま...全文を読む

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2012.12.18 (Tue)

 2 思い出高層マンションの十五階が私たちの新しい住処だ。イギリスにいた頃は三階建てのアパートの二階に間借りしていたから、この高さからの景色を眺める生活は悪くない。ただし、ハナに言わせれば景観があまりよろしくないらしい。電信柱や電線が見苦しいし、高さも色も規定がないからボコボコ建物が乱立していてせっかく高い階の部屋なのにがっかりだ、と。この調子でいくと、将来またイギリスに渡ることになりそうだ。しかし...全文を読む

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第四章 1

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2012.12.18 (Tue)

 第四章 のこされたものの未来十五年後1 マリア=S・スラウド・三木海は、いい。全てを内包するような温かさ、水銀の水面。海底に差しこんだ光が反射して水面に向かい、再び反射する。そのため、海中は光で満ちている。私は海上を見上げる形で一人水底に沈みながら、今日の午前中に自分を訪ねてきた人物に思いを巡らせた。私は大学の研究室で働いている。教職にでも就ければいいなと思っているが、同じ研究室の教授も助教授もま...全文を読む

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2012.12.18 (Tue)

 3 未完成賢くなった二人は親の目の届かない所で会うのがうまくなった。例えばネット上である。まりあが家に一人でいる時はチャンスだった。ウェブカメラとマイクを用いてスカイプをしてみれば、チャットで喋るよりもより臨場感があった。見せたい物の画像をいちいち写メールする間でもなく、ただ手にもってカメラに向けるだけで、相手に伝わるようになった。夏美は絶対に玲緒にバレないように細心の注意を払っていたが、ある日う...全文を読む

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2012.12.18 (Tue)

 2 過ちを犯した日その日、夏美は双子の半身から何やらいつもと違う空気を感じ取っていた。饒舌な彼女の口数が少なく、互いの体が触れる度に動きを止めてじっとこちらを見る。その目は何かを求めているようだった。夏美は家に帰るとまりあの部屋に行き、自然の流れのように彼女の手をとった。まりあは拒まなかった。夏美は迷っていた。もし自分の推測が外れていたら困ったことになると本能が告げていた。手を繋ぐ程度のことなら既...全文を読む

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第三章 1

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2012.12.18 (Tue)

 第三章 電子空間の中<夏美のお話>1 二人の問題児大樹の枝葉が風にさわさわ音を立て、木漏れ日が木の根元に寝転ぶ人に注ぐ。その人物は緑を基調としたブレザーに身を包んだ短髪の少女だった。年は、十四、五くらい、中学生だろうか。雌豹のように怠惰に四肢を投げ出す姿は、建物と植物の死角になって教官からは見えない。寄宿学校の規律は厳しい。でも、一年もいれば抜け道が見つかる。色白で、白色人種の血が混ざった涼しげな...全文を読む

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2012.12.18 (Tue)

 3 春花の望みまりあがフォーティス・アニマとなったことは、正直嬉しい驚きであった。アプロディーテーのようなロングヘアをなびかせて、すいすいと教室内を移動するまりあは、生前と同じように着席し、どこからか教科書とノートをとって授業を受けていた。彼女には机に置かれたアネモネの花が見えず、話しかけても無反応の友人も見えず、挙手を無視する教師も見えないらしかった。まりあの中では、日常は正常に進行していた。ま...全文を読む

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2012.12.18 (Tue)

 2 魂が帰る場所高校一年生のとき、初めて同じクラスになったけれど、一年間ほとんど接点はなかった。まりあは主に結城や、その取り巻きや、地元でのボス格の神崎茜一派とつるんでいたので、声をかけようにも無理であったし、その当時私はまだ彼女のことを、顔だけいい浮ついた頭空っぽのバカ、だと思っていたので、接触しようとも思わなかった。二年生に進級した年、私は初めてまりあとマトモな会話をした。一年間同じクラスにい...全文を読む

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第二章 1

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2012.12.18 (Tue)

 第二章 眠らぬ魂<高良春花のお話>1 姿定まらぬ物私は幽霊が見える。いや、誤解しないでほしい。私は法螺吹きでもオカシイ人でもない。でも、ある年齢――小学校六年生――に達した時から、私の視界は人より混雑するようになった。それも、カラフルに。幽霊とは何だろう。そう考えた時、それは有機物だとも無機物だとも思えない。気体とも固体とも液体ともつかないモノ。その「モノ」は、必ず定形をとっている訳ではない。心霊現象...全文を読む

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2012.12.18 (Tue)

 5 新たな世界へ「今日は月が綺麗だな」塩野が言った。「雲で見えないじゃん」塩野の言葉を不可解に思いながら、にべもなく言う。塩野は弁解しなかった。その代わり、不思議なことを言い出す。「ほら、あそこにあるだろ。三木見えないの?雲の裏側に昇ってる。随分やせ細った月だ。明後日あたりは朔の日かな」塩野は普段から常識とはちょっとズレているが、今日は本当に吹っ飛んでいる、と思った。多分泳ぎ疲れたんだろう。さり気...全文を読む

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2012.12.18 (Tue)

 4 海底1メートルと50センチ翌朝、空はどんより曇っていたが、心は突き抜けるような青空といって差し支えなかった。日本海側であるために、太平洋側のそれよりは大分澄んだ近場の海を想像して、そこに立つ自分と塩野が頭に浮かんで、心が躍った。水着とゴーグル、着替え一式、財布と携帯電話を鞄に放り込んで、壁掛け時計に目をやる。海への道のりは、電車とバスとを乗り継いで一時間の距離であったので、十時頃到着するように...全文を読む

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2012.12.18 (Tue)

 3 未来私の家は、駅のごく近くにある。この辺りは、市内では最も栄えていて、駅には新幹線も乗り入れている。市内で唯一といっていい、大型ショッピングセンターがごく近くにあり、休日はかなり人出がある。料亭や居酒屋、ブックストアが軒を連ねるアーケード街もある駅に向かう大通りから一本外れた路地には住宅が並んでおり、我が家はその住宅群の中のひとつだ。繁華街が近いため、夜間の外出は重々気を付けるよう親には言い渡...全文を読む

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2012.12.18 (Tue)

 2 悪夢蝉がうるさい。汗がじわりと垂れて、フラフラする。あれ……?おかしいと気付いた時には、世界が反転していた。暗闇の中で、何か心地よいものが額に当てられるのが分かった。意識の隅の方で、誰かの声が聞こえる。誰……?母親?妹?いや違う、もっと声が低い。でも男じゃない。これは……声の主が分かった途端、ある光景がフラッシュバックする。蒸した人気のない校舎、偽の呼び出し、急所につきつけられるカッターの刃、体への...全文を読む

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眠らぬ魂 プロローグ+ 第一章 1

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2012.12.18 (Tue)

 プロローグ私には人生でただ一人愛した人がいる。同じ親の血が流れる双子の片われである。私は彼女だけを愛した。そしてこれからもそうであり続けるだろう。……私たちは始まったばかりであった――第一章 魂のありか  1 夢のはじまり「塩野とデキてんだろ?」開口一番言われた言葉はそれ。トイレの壁に押し付けられて睨まれる。強い眼光に息を呑む。吸い込まれてしまいそうな漆黒の二つの目がこちらを見ている。彼女の名は確か……...全文を読む

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8

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2012.12.17 (Mon)

 「結婚だあ??」きいてない。全くみに覚えがない。いきなり両親に切り出された婚約ばなしに私は思わず叫んだ。「そうなの」と害のない笑顔を向けてくる母親に目を見開く。彼女は私のセクシュアリティを知っているはずだった。なぜなら彼女はノックもせずに私の自室に入ってくるタチで、セックスの真っ最中でも変わらなかった。彼女は女の子に愛撫してる私を見ても顔色ひとつ変えずに、お茶をいれたからのみに来いと告げて出て行っ...全文を読む

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